予防医学のお話 No.52
炭水化物・糖質

掲載日:2019年6月3日

「炭水化物」はタンパク質、脂質と並ぶ3大栄養素のひとつで、「糖質」は炭水化物から食物繊維を除いたものの総称です。砂糖のような甘いものをイメージされる方が多いかも知れませんが、米やいも類に含まれるでんぷんも糖質の仲間です。糖質は、分子量の大きさから単糖類(ブドウ糖や果糖など)、二糖類(砂糖、乳糖、麦芽糖など)、三糖類以上の多糖類(オリゴ糖やでんぷんなど)に分類されます。これらの糖質は消化・吸収されやすく、消化の過程で単糖類まで小さく分解され、腸管から体内に吸収されます。


私たちの体内を流れる血液中の糖質(ブドウ糖)濃度は、「血糖値」と呼ばれています。炭水化物や糖質を摂取すると血糖値が上昇し、血糖値が上昇すると膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンにはブドウ糖を細胞の中へ取り込む働きがあり、細胞に取り込まれた糖質は1gあたり約4kcalのエネルギーを産生し、主に生命を維持するエネルギー源として利用されます。特にブドウ糖をエネルギー源として利用する脳や神経組織、赤血球などには、優先的にエネルギーが供給されます。またインスリンには、エネルギーとして直ちに利用されない糖質をグリコーゲン(多糖類)に合成して肝臓や筋肉に蓄積し、肝臓や筋肉に蓄積しきれなかった余剰のブドウ糖を中性脂肪に合成して脂肪細胞の中に取り込む働きもあります。中性脂肪の蓄積は肥満や脂肪肝の原因にもなるため、糖質の過剰摂取には注意が必要です。

最近、炭水化物(糖質)の摂取を控える「糖質制限ダイエット」が話題になっています。炭水化物を控えることには、血糖値の上昇を抑え、インスリンによって生じる脂肪の合成・蓄積を抑制することが期待されますが、糖質は脳と筋肉にとって不可欠な栄養素であるため、極端な糖質制限ダイエットをすると脳や筋肉に負担がかかってきます。糖質が不足すると、まず脳がエネルギー不足と判断し、体が飢餓状態であると思ってしまいます。すると脳は、体内に蓄えている脂肪をなるべく使わないように指令を出すため、私たちの体はなかなか脂肪が減りにくい体質に変わっていきます。次に、炭水化物(糖質)が不足している状態では、体内のタンパク質を分解することでエネルギーが作り出されるようになります。本来タンパク質は筋肉を作るための材料として使われるため、タンパク質がエネルギー源として利用されると筋肉が合成されにくくなってしまい、極端な低糖質ダイエットは筋肉の分解をより進めてしまいます。筋肉量の減少は、筋力の低下や疲労感の増大、肝臓の機能低下などの体調不良を招くことがあります。食事を制限する際は、極端な糖質制限にならないよう注意する必要があります。


また糖質を効率よくエネルギーに変換するためには、ビタミンB群が必要不可欠です。特にビタミンB1を摂ることで糖質の代謝がよくなりますので、過不足なく摂るようにしましょう。ビタミンB1は、豚肉やうなぎ、玄米、大豆、そばなどに比較的多く含まれています。これらの食材を上手に使って、バランスの良いメニューを考えてみましょう。

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