予防医学のお話 No.49
水分摂取

掲載日:2019年3月1日

水分は、私たちの体を構成する重要な成分です。乳児では体重の約80%、幼児では約75%、小児では約70%、成人では約55~60%、高齢者では約50~55%が水分だと言われており、私たちの体の大部分は水分でできているといっても過言ではありません。体内の水分の約2/3は細胞内液として、約1/3は血液やリンパ液などの細胞外液として存在しており、主に物質の溶解、物質の運搬、体温調節の役割を担っています。

物質の溶解
食事の中に含まれる栄養素は、吸収しやすい形に分解され代謝されます。代謝反応は水に溶けた状態で行われるため、水分がないと栄養素の分解、吸収、代謝に支障が生じます。

物質の運搬
水分を含む血液やリンパ液には、栄養素や酸素、ホルモンなど体内の物質を細胞まで運ぶ役割があります。また不要になった老廃物を回収し、尿から排泄するのにも水分が不可欠です。

体温調節
水は比熱(1g当たりの物質の温度を1度上げるのに必要な熱量)の高い物質で、温まりにくく、冷めにくい性質があります。水は温度の変化が少ないので、体温を一定に保つことに役立っています。また暑いときや運動時に汗をかいて体熱を放散し、体内温度の上昇を防ぐためにも水分が必要です。

ヒトの体は食べものがなくても水さえあれば1ヶ月近く生きることができますが、水が1滴も飲めないと2~3日で生命維持が困難になると言われています。体から水分が1%損失されるとのどの渇きが、2%の損失でめまいや吐き気、食欲減退などが現れ、10~12%の損失で筋けいれんや失神、20%の損失で生命の危機になり死に至ってしまいます。また水分不足は熱中症、脱水症状、脳梗塞、心筋梗塞など様々な健康障害のリスク要因にもなります。

水に関しては栄養素のような摂取基準が設定されていません。一日に必要とされる水分量は、体重や年齢によっても異なりますし、その日の気温や運動量によっても変動するため一定ではありません。しかしヒトは一日に尿と便で平均1.3リットル、皮膚からの蒸発で平均0.6リットル、呼吸で平均0.4リットルなど、知らず知らずのうちに約2.3リットル以上の水分を排出していると言われています。水の摂取源は食物由来がおよそ20~30%、残りが飲み物で70~80%であるとされ、水分補給として1日1.5リットルの水を飲むべきであるとされています。もちろんこれは平均的数値なので、気温が高い日、汗をかいたとき、運動をしたときなど状況に合わせて水分摂取量を増やし、体内の水分バランスを維持するよう努めましょう。また水分を取る際は、一気にまとめて摂るのではなく、小分けにして摂るのがポイントです。体内の水分濃度は、私たちが食べたり飲んだりしたものによって変わってきます。塩分や余分な水分を体外に排出して水分濃度のバランスを保ち、リンパ液の流れを滞らせないようにするためには、水分をしっかりと補給するとともに塩分の摂り過ぎに気をつけ、カリウム、タンパク質、ビタミンB1をしっかり摂ることが重要です。

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