予防医学のお話 No.46
お酒の飲み方

掲載日:2018年12月3日

忘年会やクリスマス、お正月に新年会と、年末年始はお酒を飲む機会が多くなる時季です。しかし一度に大量に飲んだり、毎日飲み続けたりすると体に様々な副作用が出てきます。胃腸から吸収されたアルコールは肝臓で分解処理されますが、肝臓が一度に処理できるアルコールの量はほぼ一定です。そのため、分解できずに体に残ったアルコールは、体のいたるところに害を与えます。

お酒の種類と量あたりのアルコール含有量・エネルギー

種類
アルコール度数
アルコール含有量
エネルギー
ビール 大瓶1本(633ml) 5% 32ml 221kcal
ワイン (200ml) 14% 28ml 196kcal
日本酒 1合(180ml) 15% 27ml 189kcal
焼酎 0.6合(110ml) 25% 28ml 193kcal
ウイスキー ダブル(60ml) 43% 26ml 181kcal

肝臓のアルコール処理能力は焼酎0.6合を処理するのに約3時間かかります。1.8合飲めば処理をするのに9時間かかり、夜中の12時に飲み終わった場合、翌朝までアルコールが体内に残ってしまいます。さらに障害を受けるのは肝臓だけでなく、膵臓も影響を受けます。肝臓から血液に入ったアルコールが膵臓に達し、膵臓が毎日のようにアルコールにさらされていると、タンパク質が固まってカルシウムが沈着し、膵臓が線維化してしまいます。また、アルコールを摂ると胃液の分泌が増加して膵液の分泌を促しますが、その一方でアルコールは十二指腸の粘膜を刺激するため、膵管の出口に炎症を起こしてしまいます。これを繰り返すことで慢性膵炎になってしまうのです。

「適度の飲酒は体に良い」などとも言われますが、「適度」とはどのくらいの量なのでしょうか?個人差がありますので一概には言えませんが、一般的に焼酎1.8合(ビール大瓶3本、日本酒3合、ウイスキーダブル3杯に相当する)以上を毎日欠かさず5年以上飲んでいると、肝臓に障害が現れると言われています。これよりも少ない量を目安として自分の適量を見つけるようにしましょう。また「ビールは利尿作用が強いので老廃物を体の外に出してくれる」、「健康食品にもあるビール酵母を含んでいるから健康によい」、「焼酎やウイスキーのような蒸留酒であれば血糖値を上げる心配はない」等々、お酒に関しては多くの俗説があります。しかし実際には糖尿病や肝機能障害の方に問題となるのは、お酒に含まれる糖分ではなくアルコールそのものです。やはり摂取するアルコールの量には注意が必要です。ビールに限らず焼酎も適量を守って週に二日は休肝日をつくり、お酒を楽しみましょう。


お酒は食事と会話を楽しみながら、ゆっくりとたしなむのが上手な飲み方です。ひとりで飲むと飲酒のペースが早くなり、飲む量も多くなりがちです。またお酒を飲む際に、ぜひおススメしたい食べものがあります。

胃腸を守ってくれる乳製品

胃が空っぽの状態でアルコールを摂ると、胃の粘膜が弱くなって胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる危険性が高くなります。胃腸を守ってくれる働きを持つのが乳製品です。乳製品に含まれる乳脂肪は胃壁に膜を張るような状態になります。ほかにもオクラや納豆、山芋などのネバネバ成分も胃の粘膜を保護してくれます。膜を張ることで、アルコールやビール、サワーに含まれる炭酸ガスの吸収を和らげることができるのです。また、緑茶を飲むこともお勧めです。緑茶は交感神経を刺激して余分な成分の吸収を妨げ、アルコールの吸収を抑えてくれます。

肝臓を守ってくれるタンパク質

居酒屋メニューの定番、枝豆や豆腐などの豆類は、肝臓を守って改善する効果のある食べ物です。お酒を飲むと肝臓の脂肪を分解する働きが低下するため、肝臓の中に脂肪が溜まりやすくなります。肝臓から脂肪を放出するにはタンパク質と結びつくことが必要なので豆類を摂ると肝臓の脂肪が排出されるようになります。豆類のほか、良質のタンパク質である鶏肉も肝機能改善の効果があり、魚介類に含まれるタウリンは肝機能の向上に役立ちます。

お酒は量や飲み方に気を付け、飲み過ぎにはくれぐれも注意しましょう。また入浴の前や、妊娠中・授乳中は飲まないようにしましょう。

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