予防医学のお話 No.43
平均寿命と健康寿命

掲載日:2018年9月3日

平均寿命とは、0歳における平均余命(ある年に生まれた人が何年間生存できるかという統計的期待値)のことです。日本人の平均寿命は年々伸びており、2017年の調査によれば男性は81.09年(世界第3位)、女性は87.26年(世界第2位)となっています。一方健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間、つまり身の回りのことは自分で何でも支障なくできる期間を指します。入院や介護を必要とする期間が生じると、その分健康寿命は短くなってしまうわけですが、平均寿命の延伸にともない不健康な期間も伸びることが予想され、超高齢社会を迎える今後、医療費や介護給付費の多くを消費する期間が増大すると予測されています。私たちの人生は、どれだけ長く生きるのかという量だけでなく、いかに生きるか、いかに自分のことは自分でできる状態を維持するかという生活の質が重要視されるようになってきているのです。


健康寿命を延ばすには、「適度に運動すること」「休養や睡眠を十分にとること」「バランスのよい食事を摂ること」「家族や仲間と食事を摂るなど孤食を防ぐこと」「健康診断の受診など自己の健康状態を把握すること」などの留意点がありますが、なんといっても重要なのは「フレイル対策」です。フレイルとは、「虚弱」を意味する英語の「Frailty(フレイルティ)」に由来する言葉で、厚生労働省研究班の報告書では「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされています。高齢者が陥りやすい心と身体の虚弱を多面的に表した概念で、多くの高齢者はフレイルを経て要介護状態へ進むと想定されています。そのため、このフレイルを予防することが、健康寿命の延伸にもつながる一端となると考えられています。


フレイル対策の中でも、筋肉を増強することは極めて重要です。筋肉を維持し、少しでも増やし、少しでも鍛えていくことが大切です。そのためには、筋肉を増強するための有酸素運動(ウォーキングやスクワット運動など)と無酸素運動(ダンベル運動などの筋力トレ-ニング)を毎日無理なく、その方の年齢や既往歴や運動習慣なども鑑みながら行うようにしましょう。特に病気がある方は、運動の内容や強度に注意して行なうようにしてください。また、筋肉に必要な栄養素である必須アミノ酸をバランスよく含む良質なたんぱく質とビタミンDの摂取を心がけましょう。


これからの超高齢化を乗り切るためには、疾病予防と健康増進、介護予防など一次予防を積極的に行ないましょう。健康寿命を延伸し、「平均寿命=健康寿命」の状態に近づけることができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できます。

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