予防医学のお話 No.38
五月病

掲載日:2018年4月2日

五月病

気温がだんだんと暖かくなり、草花が芽生え、春の気配が感じられるようになると、爽やかな季節の到来に心を弾ませる方も多いと思います。しかし春先は、天候が変わりやすく寒暖差が激しいため、気温の変化に対応できず体調を崩す方が多い時季でもあります。また春は、卒業、入学、入社、異動、転勤など四季のうちでも特に環境の変化が大きい季節ですが、新生活をスタートさせた方などが環境の変化に対応できずに陥りやすいのが「五月病」と呼ばれる状態です。

五月病は、正式な医学用語ではありません。医療機関では、「適応障害」「軽度のうつ」「無気力症候群」といった診断名がつけられることがあります。また一般に5月のゴールデンウィーク明け頃から起こることが多かったことが五月病という名称の由来と言われていますが、必ずしも5月に限って起こるものでもありません。主な症状には、身体的なものと精神的なものがあり、身体的なものには、食欲不振、頭痛、不眠、めまい、倦怠感、動悸、息苦しさなどの他、胃痛、嘔吐、下痢、軟便など胃腸機能に関わる症状を伴う場合があります。精神的なものとしては、やる気が出ない、何をしても楽しくない、物事への関心が薄い、毎日が憂うつ、ささいなことで不安になる、イライラする、自信がなくなる、悲しい気持ちになる…などがあります。

「進学や就職、配置転換などで生じた生活や人間関係の変化に適応しようと努力していたが、次第に心身の疲労が蓄積し、エネルギーが持続しなくなりやる気が起こらなくなる」、「厳しい受験勉強や就職活動などの結果、目指していた目標に到達できたものの、次の目標を見出すことができず無気力状態に陥ってしまう」など、環境の変化にともなうストレスが直接的な原因と考えられています。また環境の変化によって、ストレスの軽減に役立つ脳内の神経伝達物質「セロトニン」の分泌が不足することも、感情をうまくコントロールできず、憂うつな気分になりやすくなる要因と考えられています。

五月病の予防と症状改善のためは、次のようなことを心がけてみましょう。

完璧主義をやめる

何事も一生懸命にやるのはとても大切ですが、完璧主義は自分が思っている以上に心の負担となっていることがあります。「上手くいかないこともあるが、失敗は成功のもと」と肩の力を抜いて考えてみることも大切です。

体を動かしてリフレッシュ

ジョギングやウォーキング、水泳などの有酸素運動を行うことは、脳内のセロトニンの働きを活発にし、憂うつな気持ちの解消につながります。

趣味に打ち込む

読書や音楽鑑賞、旅行など自分の好きなことをすると、脳内でセロトニンの分泌が活性化され、ストレスの緩和が期待できます。

新しい目標を設定する

日常生活の中で取り組める簡単な目標を設定して、実行してみましょう。達成感を得ることができると、自信を回復するきっかけにもなります。

ひとりで悩まず誰かに相談する

悩みごとを自分ひとりで抱え込まず、家族や友達に聞いてもらいアドバイスをもらうなど、心の荷物を少し下ろしてみましょう。

規則正しい生活を心がける

セロトニンの不足は、「宵っ張りの朝寝坊」も原因の一つです。セロトニンの分泌を促すためには、毎朝太陽の光を浴びるのが効果的です。休日もある程度決まった時間に起き、生活リズムを崩さないよう心がけましょう。

セロトニンを含む食品を摂取する

バナナやナッツ類、乳製品や大豆製品など、セロトニンが含まれる食品を摂取して、不足を補いましょう。

五月病の多くは一過性のもので、ストレスの解消や疲労回復をこころがけることで重症化を予防し、症状の改善ができることもあります。しかしやる気を持てずにいる姿を、周囲から「怠けているだけ」「気合いが足りない」などと受け止められ、五月病の方が自分自身にさらにプレッシャーをかけて症状を悪化させてしまうこともあります。そのような状況が改善されず1カ月以上続くと、うつ病につながることもあります。
症状に改善が見られない場合には、精神科・神経科・心療内科など、医療機関を受診してみましょう。また周囲に五月病の疑いのある方がいる時は、無理に励ましたり焦らせたりせずに、じっくり話を聞いてあげるなど見守ってあげることが大切です。

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