予防医学のお話 No.31
加齢にともなう疾病と対策

掲載日:2017年09月01日

むくみ

厚生労働省が発表した「平成28年簡易生命表」によれば、日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳と男女ともに過去最高を更新しました。世界でも有数の長寿国と言われるようになって久しいですが、年齢を重ねるということは、健康を維持する免疫、自律神経、内分泌の機能、ホメオスタシスの調整機能が低下し、からだ全体のバランスの乱れが徐々に症状としてあらわれてくるということでもあります。疾病予備軍の方、すでに病気をお持ちの高齢者も多く、健康寿命の延伸が今後の日本の大きな課題となっています。

加齢にともなう疾病としては、認知症や運動器の機能低下から骨折や転倒、そして寝たきりに発展するロコモティブシンドロームが深刻な問題として注目を集めていますが、その他にも体の各器官の機能が低下することによる様々な疾病があらわれます。排尿障害、尿失禁、便秘などの排泄機能障害や視覚、聴覚、味覚などの感覚障害、低栄養や脱水などの栄養摂取障害、菌やウイルスなどが原因となる病気・・・。また歯周病が様々な全身疾患へとつながることも解明されております。死因順位の上位を占める悪性新生物や心疾患、肺炎、脳血管疾患に対するのと同様に、これらの疾病に対しても常日頃から予防の努力を続けることが必要となります。

加齢にともなう体の機能変化は、次の4つに分類されます。これらの機能が低下することを事前に知り意識を向けることで、対策や予防の仕方が見えてきます。

1.「予備力の低下」
例えば階段の上り下りなど、日常生活で何の問題もなくできていたことができにくくなることです。進行すると寝たきり状態になってしまう場合もあり得ます。予防のためには、有酸素運動や無酸素運動を取り入れた筋肉量の確保と、筋肉の質も重要です。筋肉はタンパク質を材料に作られますので、栄養面ではプロテインを不足させないようにしましょう。

2.「防衛力の低下」
病気に対しての抵抗力が徐々に低下することです。免疫力を維持していくには、体全体の免疫細胞が6~7割も集まる腸をケアすることが大切です。腸管免疫が元気に働くためには、腸内細菌の善玉菌(乳酸菌など)の活性化が必須です。

3.「回復力の低下」
疲労がたまりやすく、疲れやすくなり、病気が治りにくくなることです。対策としては、十分な睡眠時間の確保、規則正しい生活、ビタミンやミネラルにより、代謝を上げておくことが大切です。また酸化や糖化から体を守るうえでも、ビタミン、ミネラルの摂取は欠かせません。

4.「適応力の低下」
気温や明暗の変化に対応しにくくなったり、順応するのに時間がかかるようになったりすることです。対策には自律神経や内分泌の恒常性がとても重要になります。新しい情報や人との出会いは、脳の刺激、自律神経の刺激にもつながります。新しく得た知識をまわりの方へ文章や言語で伝える(書く・話す)ということは、脳にとってとても良い刺激になります。

昔から長寿は洋の東西を問わず人類共通の願いでした。それを享受できる国・享受できる時代に生きているというのは、とても喜ばしいことです。心身ともに健やかに生活し、健康寿命を延ばして行きましょう。

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