予防医学のお話 No.30
むくみ

掲載日:2017年08月08日

むくみ

「むくみ」とは、細胞と細胞の間に組織間液(間質液・細胞間液・細胞間リンパ液)と呼ばれる水分が過剰に溜まった状態のことです。人間の身体の60%は水分で構成されていますが、その水分の三分の二は細胞内に、三分の一は細胞外に存在しています。細胞外に存在する水分の20%が血液の液体成分やリンパ液などで、残りの80%が組織間液です。

心臓から送り出された血液は、動脈を通って毛細血管に達すると一部が毛細血管の管壁を通って血管の外に染み出てきます。この染み出てくる液体が組織間液です。組織間液は、細胞に栄養素や酸素を運び、細胞の代謝活動によってできた二酸化炭素や老廃物を受け取って、毛細血管から再吸収され静脈を通って心臓に戻るか、リンパ管を通って排泄されます。通常、血管から染み出る組織間液の量と再吸収される組織間液の量は一定ですが、何らかの原因によって染み出る水分量が多すぎたり再吸収がうまく行われなかったりすると、行き場をなくした水分が皮下に溜まり、むくみが生じるのです。

むくみと関連して最近注目されているのが、アルブミンという物質です。アルブミンは血液中に含まれるタンパク質のひとつで、食事から摂取したタンパク質が肝臓で分解・合成されてつくられます。磁石のように栄養素をくっつけて細胞まで運んだり、スポンジのように細胞から出た老廃物や余分な水分を吸い取って回収したりします。

また、アルブミンには血液の浸透圧を調整する働きがあります。血液の浸透圧とは、血管に水分を取り込んだり、排出したりするときの圧力のことです。アルブミンの量が少ないと、細胞間質(細胞と細胞のすき間)にある水分を静脈やリンパ管に取り込む力が弱くなり、水分が溜まりやすくなってしまいます。その他、アルブミンにはリンパ管内のリンパ球を刺激して免疫物質をつくる働きもあるため、アルブミンが減少すると、疲れ易くなったり、免疫力が低下することも分かってきています。

ではむくみを改善していくには、どのようなケアや生活習慣が必要なのでしょうか?

まずは全身のリンパ節の詰まりを取ることで、リンパ液の流れを促し水分や老廃物の排泄を助ける方法があります。表在リンパ管へはマッサージで、また深部リンパ管へはインナーマッスルを刺激するような、大きな運動、例えば手足を大きく動かしながらウォーキングする、階段の上り下り、ラジオ体操などがあります。

また食事も重要です。体内の水分濃度は、私たちが食べたり飲んだりしたものによって変わってきます。リンパ液の流れを滞らせないようにするためには、塩分を控えて、カリウム、タンパク質、ビタミンB1を摂り、水分をしっかりと補給しましょう。また、ダイエットや偏食などで、アルブミンの量が低下してしまわないよう気を付けましょう。

その他、腹式呼吸などもリンパ液の流れがよくなります。また湯船に入って身体を温めることと湯船から出て身体を冷ますことを交互に繰り返す交代浴は、むくみ対策に効果的です。よりリラックス効果を得るために、エッセンシャルオイルを1~5滴ほどお湯に混ぜ入れて入浴してもよいでしょう。 

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