予防医学のお話 No.26
貧血

掲載日:2017年04月03日

貧血
貧血とは、血液中の赤血球の働きが悪化したり、量が少なくなった状態のことです。赤血球には体内の細胞に酸素を運搬する役割があるため、貧血になると体が酸欠状態になってしまいます。疲れやすい、体がだるい、肩こりがひどい、冷えを感じる、立ちくらみ、息切れ、動悸など、病気ではないのに「なんとなく体調不調」なのは、隠れ貧血から起こる症状かも知れません。「女性の5人に一人は貧血予備軍」とも言われ、貧血は実は身近で深刻な問題です。

貧血には、血液を作る骨髄の働きの低下によりおこる再生不良性貧血、ビタミンB12・葉酸が欠乏しておこる巨赤芽球性貧血、赤血球が破壊される溶血性貧血、葉酸欠乏性貧血などがありますが、日本人の貧血患者の約7割、女性全体の約1割は「鉄欠乏性貧血」だと言われています。

赤血球中に存在する「ヘモグロビン」は、鉄を含むヘムという色素とグロビンというタンパク質から構成されています。ヘム色素と鉄が結合した「ヘム鉄」には、酸素と結びつく性質があります。赤血球が酸素の運搬作業を行なえるのは、ヘモグロビンを構成するヘム鉄の酸素と結びつく性質のためです。血液中の鉄分が不足すると体内の貯蔵鉄から不足を補いヘモグロビンの生成が行なわれますが、貯蔵鉄からの補充ができなくなり、体内でのヘモグロビンの生成が減少し貧血になってしまうのが鉄欠乏性貧血です。

鉄が不足するのは、バランスの悪い食事や無理なダイエット、偏食などによる「摂取不足」、成長期や激しい運動、妊娠、出産、授乳などによる「必要量の増加」、潰瘍やガンなどの病気や月経による「損失量の増加」が大きな原因だと言われています。特に女性は、月経・出産・妊娠・授乳など人生を通して貧血になりやすい要因が多いのです。

鉄欠乏性貧血の対策は、血液中のヘモグロビンを増やすことがポイントです。上述の通り、ヘモグロビンの生成には鉄分の補給が欠かせません。日頃の食事に鉄分を含む1品をプラスするように心がけ、食事で摂るのが難しい時はサプリメント等も上手に活用しましょう。

鉄分には、レバーやもも肉などの肉類や、カツオ、マグロ、サンマ、カキなどの魚介類に含まれるヘム鉄と、野菜類に多く含まれる非ヘム鉄の2種類があります。鉄分は体内に吸収されにくい物質で、摂取した5~25%くらいしか吸収されませんが、2種類の鉄でも吸収率はヘム鉄の方が非ヘム鉄より数倍も勝っています。さらにこれらの鉄分と一緒に、ビタミンCやタンパク質も一緒に摂ると鉄の吸収率が上がります。反対にコーヒーや紅茶、緑茶やウーロン茶には鉄分の吸収を阻害するタンニンという成分が含まれていますので、貧血の時はなるべく控えるようにしたいものです。

貧血になっても一般に初期のうちは重篤な症状は表れず、特にゆっくりと進行する鉄欠乏性貧血は自覚症状が乏しいようです。慢性的な酸欠状態になり体には不調が少しずつ表れていますが、体も徐々にその不調に慣れてしまうため見過ごされることも多いのです。顔色が青白い、爪が反り返ってしまうなどの症状もあれば、貧血を疑ってみるべきです。

全身をくまなくめぐる血液の調子が悪いと、体のあちこちに不具合が出てきてしまうものです。貧血は、体の不調を知らせるサインだと考えるべきでしょう。
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