予防医学のお話 No.24
風邪とインフルエンザ

掲載日:2017年02月01日

風邪
寒さが厳しくなるにつれ、皆さんの周囲でも「風邪をひいた」という方が増えているのではないでしょうか?私たちにとってたいへん身近で、おそらくかかったことのない人はいないと思われる風邪ですが、実は医学的には風邪という病気は存在しないということを皆さんはご存知でしょうか?

風邪はひとつの病気ではなく、発熱や咳、鼻づまり、のどの痛みなど複数の症状をともなう呼吸器系の急性炎症の総称で、医学的には「風邪症候群」や「普通感冒」と呼ばれます。原因の80~90%がウイルスによる感染症で、原因となるウイルスはアデノウイルス、コロナウイルス、ライノウイルスをはじめ200種類以上あると言われています。残念なことにこれらのウイルスを抑える薬はいまだ開発されておらず、風邪は薬では治すことはできないと言われています。いわゆる風邪薬(総合感冒薬)はあくまで風邪の主な症状を和らげる対症療法薬で、「風邪の特効薬を開発すればノーベル賞を受賞できる」といううわさがあるそうです。

一方「インフルエンザ」はインフルエンザウイルスを原因とする感染症で、風邪とは別の病気です。発熱や咳、鼻づまり、のどの痛みなど、風邪と共通する症状もみられますが、風邪の多くが発症後の経過がゆるやかで発熱も軽度なのに対し、インフルエンザは高熱を伴って急激に発症し、頭痛、筋肉痛、関節痛、食欲不振や全身倦怠感などの症状が現れます。また脳炎や肺炎などの合併症を引き起こし重症化することがあるので注意が必要です。インフルエンザの治療には、抗インフルエンザ薬が用いられます。発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を飲むことでインフルエンザウイルスの増殖を抑えることができますので、早期に発見することが大切です。

インフルエンザウイルスは、A型・B型・C型に大別され、A型は人や豚、鳥などの動物に感染しますが、B型・C型は人のみに感染します。また「季節性インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」に分類されることもあります。季節性インフルエンザは冬を中心に毎年流行するため多くの人が免疫を持っていますが、新型インフルエンザは鳥インフルエンザや豚インフルエンザが人に感染してウイルスが変異し、人から人へ感染するようになったものです。新型インフルエンザはほとんどの人が免疫を持っていないため、世界的な大流行を起こす危険性があります。症状は季節性のインフルエンザと似ていますが、消化器系の症状を発症することが多いと言われています。

ウイルスや細菌による感染症は一年を通して発症しますが、空気が乾燥して気温が低くなる冬の季節は感染症の発症がピークを迎える時期でもあります。湿度が低く気温も低い冬場は、ウイルスや細菌にとって居心地がよく長生きできる環境と言えます。また空気が乾燥すると咳やくしゃみの飛散度が上昇し、ウイルスや細菌が空気中に長時間滞在することで感染力も上昇します。さらに、外気温が低くなり体温が低下すると、基礎代謝が落ち免疫力を担っている細胞の働きが低下します。本来ウイルスや細菌の体内への侵入を阻止している気管支や鼻、のどなどの粘膜が乾燥し傷付くと、ウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなってしまいます。

風邪もインフルエンザも主な感染経路は、飛沫感染・接触感染・空気感染です。そのため予防対策は、マスクを着用し、うがい・手洗いをこまめにおこなうこと。室内であれば適度な湿度を保持するよう心がけましょう。感染しにくい体内条件を整えて、免疫力や体力の維持を心がけましょう。

昔から「風邪は万病のもと」と言われています。かからないように予防することはもちろんですが、もしかかってしまったら、無理をせずに十分な休養と早めの対処をこころがけましょう。
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