予防医学のお話 No.22
代謝

掲載日:2016年12月05日

代謝
わたしたち人間は、食事によって体内に取り込んだ栄養素を消化・吸収し、そこから身体に必要な物質を合成し、生命活動に必要なエネルギーを変換・利用し、老廃物を体外に排泄して生きています。簡単に説明すると「代謝」とは、生物がその生命を維持するために外部から取り込んだ様々な物質を生体内で利用するこれら一連の過程のことで、新陳代謝の略称です。

代謝の一連の過程がうまく機能しなくなると、肥満、むくみ、疲れ、冷え、肌荒れ、顔色の悪さなど、身体に様々な不調が現れます。これらの不調を放置すると代謝異常症候群(メタボリックシンドローム)に進行し、動脈硬化や心筋梗塞、脳血管障害などのリスクが高まります。

代謝を正しく機能させるため、日常生活の中で意識していただきたいポイントを5つご紹介します。

<1>消化力
食べるという行為は代謝の最初の段階ですが、栄養のあるものを食べてもそれを消化できなければ、身体はそれを十分に吸収し利用することができません。食べたものの消化には大量の消化液の分泌がともない、身体にとっては意外と負担が大きいものです。消化力を上げるには、何を食べるかと同じくらいに、どう食べるかが大切になってきます。身体に余計な負担を掛けないよう、早食いや大食い、よく噛まずに飲み込んだり、空腹でもないのにだらだらと食べ続けたりすることは慎みましょう。

<2>血糖値
血糖値が安定していることは、代謝が正しく機能している指標のひとつです。身体には本来血糖値をある一定の範囲に維持する力が備わっています。しかし糖質の多いものばかりを取っていると、血糖値が上昇してしまいます。血糖値を調節するインスリンがすい臓から大量に分泌され、ホルモンの無駄遣いにもつながってしまいます。過食・偏食を避け、規則正しく栄養バランスの良い食事を摂るようにしましょう。

<3>基礎代謝
呼吸をしたり、心臓を拍動させたり、体温を一定に保ったり、眠っている間も人間の身体は生命を維持するために活動しています。このように特に何もせずじっとしていても生理的な活動に使われているエネルギーのことを基礎代謝と言います。基礎代謝は一日の消費エネルギーの60~70%を占めており、代謝活動の主役とも言えます。平均的な成人の基礎代謝量は、男性で1,500kcal/日、女性で1,200kcal/日と言われます。しかし基礎代謝は年齢とともに落ちていき、太りやすい身体になってしまいます。基礎代謝量を維持するには、筋肉量を維持することが重要です。ハードな筋トレができなくても、日常の家事や仕事、階段の昇り降りなどの際、使う筋肉を意識し、大きく動かしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

<4>細胞活性
私たちが活動をするために必要なエネルギーは、細胞の中にあるミトコンドリアという器官でつくられます。つまりミトコンドリアを増やすことができれば、細胞を活性化させエネルギー産生力もアップさせることができるのです。ミトコンドリアを増やすには、身体に「エネルギーが必要だ」と認識させることが重要です。そのためにお勧めなのが、ややきつめの有酸素運動です。普段運動をしていない人が急に運動を始めると、最初はかなりきついと感じると思います。しかし運動に慣れてくると、それほどきつく感じなくなります。これは運動によってミトコンドリアが増えて、効率よいエネルギー代謝が行なわれるようになるためです。

<5>解毒力
解毒力とは、身体の中の老廃物や毒素などを排泄し浄化させる力のことです。解毒力が低下し体内に老廃物や毒素がたまっていると、せっかくバランスのよい食事を摂っても栄養素の吸収が阻害され、細胞まできちんと届きません。そしてむくみや肥満、肌トラブル、老化などの原因にもなります。不要なものをしっかりと排泄することが、代謝を正しく機能させるために必要なのです。通常体内の老廃物は便、尿、汗とともに排泄されます。腸内環境を整え便秘や下痢を防ぐこと、適度な運動や入浴で汗を流すことが大切です。また老廃物の排泄には水分が不可欠なので、適度な水分補給を忘れないようにしましょう。

代謝はまさに日常生活そのものです。少し気を付けるだけで正しく機能させることができますので、ひとつずつ始めてみましょう。

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