予防医学のお話 No.21
メタボ

掲載日:2016年11月01日

メタボ

2005年春、日本内科学会から「メタボリックシンドローム」、いわゆる「メタボ」の診断基準が発表されました。メタボリックシンドロームという言葉は「メタボリック」(代謝の)と「シンドローム」(症候群)が合わさったもので「代謝異常症候群」と訳されますが、その内容は「死の四重奏」と呼ばれていた肥満・高脂血症・高血圧・高血糖に、新たに「内臓脂肪(腹部肥満)」という概念を加えたものです。


内臓脂肪の蓄積がメタボリックシンドロームの診断基準の必須条件になったことから、内臓脂肪が肥満・高脂血症・高血圧・高血糖という危険因子に与える影響の大きさが分かります。内臓脂肪型肥満に加え、これらの危険因子が2つ以上重なっている場合、たとえ一つ一つが軽度であっても、動脈硬化に進行する危険率が飛躍的に高まってしまうのです。つまりメタボリックシンドロームの有無を調べることは、様々な病気を予防する上でも、とても大きな意義があるというわけです。


人間の体は約60兆個の細胞で構成されており、そのうちの1%程度、約600億個は脂肪細胞だといわれています。脂肪細胞は糖代謝や脂質代謝がスムーズに行われるために「アディポサイトカイン」という生理活性物質を分泌しています。アディポサイトカインには「善玉」と「悪玉」があり、正常な状態では善玉・悪玉の分泌がバランスよく保たれています。しかし内臓脂肪が蓄積した状態では、そのバランスが崩れたり、善玉アディポサイトカインが本来の役割を果たせなくなったりして、その結果、血栓ができやすくなる、血圧が上昇するなどの状態が起こってしまいます。アディポサイトカインの分泌の乱れが心疾患や脳血管疾患につながり、生活習慣病やその進行に大きくかかわっていると考えられています。


一般に内臓脂肪型肥満のリスクが高い人は、女性より男性に多く、中年以降に増えてきます。女性も閉経後には増加するため、ホルモンとのかかわりも考えられていますが、それ以上に食事や運動などの生活習慣が深くかかわっているのは間違いありません。


内臓脂肪をためてしまう原因のひとつとして、炭水化物や脂質の取り過ぎが挙げられます。また食べる量は普通であっても、消費するエネルギーの量が少なければやはり太ってしまいます。あまり食べないのに体脂肪が多い人は、消費するエネルギーが少ないのです。つまり摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れた時に肥満が起こり、メタボリックシンドロームにもつながっていくのです。


やはり日頃の運動が大切です。1日の中で、毎日運動を続けやすいタイミングを見つけ、BMI*が22になるようなバランスのとれた体型を目指したいものです。


*BMI(ボディー・マス・インデックス)は、体重と身長の関係から人の肥満度を示す体格指数。体重kg÷(身長m)2の計算式で求める。BMI指数22の時が、統計的にもっとも病気にかかりにくいとされる。

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