予防医学のお話 No.19
肩こり

掲載日:2016年09月01日

肩こり

肩こりは、首から肩または背中、上腕にかけての筋肉の痛みや圧迫感、違和感、不快感などの総称です。首や肩周辺の筋肉の緊張が続くと、筋肉が疲れて疲労物質がたまり、筋肉が硬くなります。硬くなった筋肉が血管を圧迫して血液の循環が悪化したり、末梢神経を傷つけるのがこりや痛みの原因と考えられています。

人間の頭の重さは体重比で8~13%と言われ、頭を支える首や肩の筋肉には、横になっている時以外は常に負荷がかかっています。首や肩の筋肉があまり発達していない“なで肩”の方や極端に痩せている方、肩や頭の重さが増す肥満体の方、肩や背中の筋肉を常に緊張させている猫背のような丸まった姿勢の方は肩こりになりやすいとされていますが、それ以外の方でも同じ姿勢での長時間作業、眼精疲労、運動不足による筋肉疲労、寒さ、ストレスや自律神経の乱れなどにより、肩こりをひき起こします。また血流が悪くなり、筋肉に十分な酸素や栄養が供給されず、老廃物や疲労物質が排泄されにくくなると、筋肉に疲労物質がたまってますます筋肉が硬くなり、肩こりが慢性化してしまいます。

肩こりの一般的な対処法としては、湿布を貼ったり、マッサージをしたり、入浴してゆったりお湯につかることなどがよく知られています。筋肉の痛みや炎症を抑え、血行を促す効果がありますので、肩こりもある程度軽減されると期待できますが、根本的な問題の解決にはなりません。

肩こりを予防するポイントの第一は、正しい姿勢を習慣づけることです。背骨のS字カーブを意識して、正しい姿勢を保ちましょう。猫背のような丸まった姿勢は、頭の位置が前に出るため頭の重心も前に移動し、それを支える首や肩に緊張を強いることになります。デスクワークも頭の重心を体の前に移動させたままの姿勢を保つことになり、首や肩の筋肉に負担がかかります。スマートフォンやタブレット端末を見る際の姿勢も同様です。普段から背筋を伸ばし、首や肩の筋肉をリラックスさせる姿勢を保つよう心がけましょう。また、長時間前かがみの姿勢で作業を続ける際は、時々休憩して、首を回す、肩を動かすなど、ストレッチをして筋肉をほぐすようにしましょう。

長時間パソコンやテレビの画面に向かっていると、目の筋肉の緊張や疲労が首筋や肩にこりをひき起こします。1時間画面に向かったら、15分程度は目を休ませるようにしましょう。また度の合わないメガネやコンタクトレンズを着用していると、目のピントを合わせるために筋肉が酷使されます。首筋や肩の筋肉が緊張し、こりにつながりますので、自分に合ったメガネやコンタクトレンズを着用しましょう。

日頃から体を動かしておかないと、筋肉の緊張や疲労が起こりやすく、首や肩がこります。さらに運動不足は血行不良を招き、肩こり発症の原因となります。運動やスポーツで肩周辺の筋肉を鍛え、頸椎や肩関節を動かすよう心がけましょう。水泳、エアロビクス、ヨガ、ラジオ体操など全身を動かす運動がおすすめです。

寒い場所や冷房の効いた部屋でずっと過ごしていると、寒さに身がすくみ体に不自然な力が入るため筋肉が緊張します。また体が冷えると血行が悪くなるため、寒さも肩こりの原因となります。ショールやマフラーなどを上手に使って冷気をなるべく避け、蒸しタオルやカイロなどで首筋や肩を温めるようにしましょう。

自律神経は、交感神経と副交感神経という正反対の働きをするふたつの神経から成り立っています。交感神経は活動している時、緊張している時、ストレスを感じている時に働き、副交感神経は休息している時、リラックスしている時、眠っている時に働きます。このふたつの神経がシーソーのように交互に働きバランスをとることで健康を維持できる仕組みになっているのです。
肉体や精神にストレスを受けると、筋肉を緊張させる交感神経の働きが活発になります。肩周辺の筋肉が緊張し、肩こりが起こります。特に秋から冬にかけては、気圧が高くなるため酸素濃度が高くなります。脈拍が上昇し交感神経の働きが活発になるため、季節的にも筋肉の緊張が高まり、肩こりや腰痛が起きやすくなります。そのため緊張をほぐし、ストレスを軽減することも肩こりの解消には有効です。軽いジョギングやウォーキングなど、気分転換を図りやすい運動を定期的に取り入れてみましょう。

癖を見直すことも大切です。例えば、いつも同じ側の肩にかばんをかけていたり、寝転んで手で頭を支えてテレビを見ていたりしていないでしょうか?習慣的に偏った筋肉を使っていないかどうかを見直してみましょう。日常的な癖を直すことでも、肩こりが起こりにくくなります。

疲労物質である乳酸を代謝する働きのあるクエン酸、筋肉の元となるたんぱく質、体を冷やさず血行をよくするビタミンB群、血行促進作用があるビタミンE、筋肉の緊張を緩和させるマグネシウムが豊富な食事を摂ることも肩こりの解消・予防には有効です。

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