予防医学のお話 No.16
便秘について

掲載日:2016年06月02日

便秘について

便秘とは、一般に排便(お通じ)が順調に行われていない状態のことを言います。単に排便の回数が減少した場合だけでなく、一回の排便量が35g以下と少ない場合や便が出にくい場合、残便感がある場合なども便秘と考えられます。

便秘は大きく分けると器質性便秘と機能性便秘に分類されます。

器質性便秘は、胃や小腸、大腸、肛門などに疾患があり、それが原因となって起きるものです。病気に起因するものなので、医師による診察と治療が必要です。思い当たることがないのに急に便秘になったり、便秘だけではなく吐き気や嘔吐、激しい腹痛、発熱、便に血や粘液が混じるなどの症状が現れたりしたときは、すみやかに医師に相談するようにしてください。

機能性便秘は、腸の緊張や腸が動かない、便が直腸まできているのに出ないなど、腸の機能低下や異常により発生するもので、食生活や生活習慣などが大きな原因です。機能性便秘は日常生活を改善することで解消する場合も多いので、対処のポイントをいくつか見て行きましょう。

機能性便秘の原因としてまず考えられるのが、水分の不足です。水分は栄養や酸素の運搬、老廃物の排泄、体温の調節など、体内で生命活動の基盤とも言える役割を担っています。毎日約2.5~6L程度、夏など暑い時期にはもう少し多い量の水分が身体から失われると言われています。ビタミンやミネラルも摂りながら、必要な量の水分を毎日しっかりと身体に入れることが大切です。摂取する水分量が少ないと、身体は排出される水分量を抑えようとします。腸の内容物から吸収する水分量が増えるので、便が硬くなり排泄しにくくなります。便が排泄されないまま腸内で腐敗すると、インドール、スカトール、アンモニアなどの有害物質が生成されます。腸内環境が悪くなり悪玉菌の働きが優位になると、大腸がんの原因にもなります。有害物質が腸から吸収され血液を介して全身へと送られて行き、慢性疾患や難病へと繋がるケースもありますので水分不足には注意が必要です。

次に考えられるのが食物繊維の不足です。単に野菜を摂れば良いということではなく、その量やバランスも重要です。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のかたよりがないように摂りましょう。また腸内環境が整っていないと、せっかく食物繊維を摂ってもその働きを十分引き出すことができません。腸内環境を整えるため、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を日常的に摂取することも重要です。

運動不足も便秘の原因となります。排便のためお腹に力を入れる際、わたしたちは腹筋を使います。腹筋を使ってお腹に力を入れると、腹圧が上昇し大腸を刺激します。その結果、腸の蠕動運動が促され、便が腸から肛門に押し出されるのです。日常生活でも腹筋など腸周辺の筋肉を使うことで腸が刺激され、動きが活発になります。腹筋が弱ってくると腸への刺激が弱くなり動きも鈍るため、便秘につながるのです。女性の場合、生理の前後はホルモンの関係で腸の運動機能が低下します。ますます便秘気味になりますので、積極的に運動をすることも必要です。

ストレスに起因する便秘もあります。自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、大腸の蠕動運動をコントロールしているのは副交感神経です。ストレスは交感神経を優位にして副交感神経の働きを低下させてしまいます。ストレスが大きかったりストレスを受けている状態が長期化すると、大腸の蠕動運動が鈍くなったり、逆に過剰になってけいれんを引き起こしたり、腸の働きが阻害されることで便秘につながる場合もあります。また脳と腸には相関関係があることがわかっていますが、過度のストレスは腸だけではなく様々なところへ影響を及ぼしますので、ストレスと上手に付き合っていくことも重要です。

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