予防医学のお話 No.14
眠る力

掲載日:2016年04月08日

眠る力

熱があるわけでもないのに身体が重い、元気が出ない、頭がボーっとして考え事が進まない、などと感じながら1日を過ごしてしまう事があると思います。それらの原因はもしかしてあなたの『睡眠』に関係しているかもしれません。睡眠は人の成長と健康、生命に重大な関わりがあります。同じ寝るなら有効な睡眠時間にしましょう!睡眠には寝る前、寝ている間、目覚める、と3段階あります。それぞれの段階ごとに見て行きましょう。

【寝る前】
1.食事は夜9時までに、出きれば寝る3時間前までに終わるのが理想的

人は内臓の温度である深部体温が下がることで身体が眠りの準備に入ります。
一般的に夜9時以降に下がり、副交感神経が優位になって眠りモードのスイッチが入りますが、ここで食べてしまうと胃腸などの消化器官が食べたものを消化しようと動き出すので、せっかく下がり始めた深部体温が上がり、スムーズな入眠が妨げられます。
また、食べてから消化するまで(胃を通過するまで)に2,3時間掛かりますので、胃もたれの原因になるばかりでなく、睡眠中に無駄なエネルギーを消費させられて睡眠の質が落ちるのです。

2.寝る1時間前にはお風呂に入りましょう

38度か39度のお湯にゆっくりと浸かることで血行が促進され、眠りの質が上がります。特に冷えた手足を温めることによって全身の体温を上げ、寝ている間の免疫機能を上げます。身体もほぐれて、睡眠時の身体回復力アップに効果が期待できます。
また、同じように就寝前の軽いストレッチもお勧めです。ストレッチ運動は血行を促進するだけでなく、リンパの流れも改善します。寝ている間の身体回復力アップに繋がります。

3.寝る30分前には強い光から離れましょう

太陽が沈んで夜になると、睡眠物質であるメラトニンというホルモンが分泌されてきます。この物質がたくさん溜まることによって人は眠ることができます。
メラトニンは目の奥にある体内時計の指令によって分泌が開始されますが、それは目から入ってくる光によって調節されています。テレビやスマホの画面、人工的な強い光が体内時計の働きを弱め、結果的に、睡眠物質(メラトニン)の分泌量が一向に増えず、なかなか寝つけなくなります。
眠る前には部屋を暗くして、強い光を発する物から離れましょう。

4.そしてリラックスしましょう

高ぶった神経や感情をリラックスさせるのにラベンダーやカモミール、マジョラムなどの匂いを嗅ぐことは効果的です。
匂いは嗅神経を通って脳の嗅覚野に到達しますが、その時感情の起伏を起こす大脳辺縁系を経由します。良い香りはその大脳辺縁系を落ち着かせることによって、心を落ち着かせゆったりした気持ちにさせるのです。自律神経では副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスします。
エッセンシャルオイルやアロマなどで販売されている物も効果的です。

【寝ている間】
1.レム睡眠とノンレム睡眠

レム睡眠は、脳は起きているが身体が休んでいる状態、ノンレム睡眠は脳も身体も休んでいる状態のことを言います。寝ている間この状態を約90分周期で繰り返しています。
レム睡眠時の脳が起きているときに目覚ましが鳴るとスッキリと起きることができますが、ノンレム睡眠時では、無理矢理起こされれば1日中眠い状態から抜け出せない場合があります。

2.レム睡眠時の脳が覚醒しているときに脳の充電を行っています。

起きているときに取り入れた情報の記憶や整理、再構築をして、整備点検をしています。また脳の老廃物を除去したりしています。
1日のストレスや精神的な疲労も情報として処理されますので、この時精神疲労も軽減されて心理的ストレスの耐性を高め、うつ病などの予防をします。
夢を見るのもこの時です。

3.ノンレム睡眠時は身体の修復を行っています。

ノンレム睡眠中は脳の温度が低下して完全に機能ダウンした、意識が無い状態です。この時活発に成長ホルモンが分泌されて傷んだ体組織を修復します。
成長ホルモンは代謝をコントロールして、傷ついた細胞、断裂した筋繊維を修復・再生したりします。皮膚の形成や新陳代謝を盛んにして紫外線で傷んだ肌を直し、脂肪の燃焼を促進したりする、美容やダイエットに欠かせない時間になります。
同時に筋骨・神経組織・内臓などを発達させ、筋肉を強化して身体の成長を促します。
ノンレム睡眠は身体の疲労回復時間帯です。

4.寝ている間の呼吸数は減り、体温と血圧は下がり、体温を調節するためにコップ1杯の汗をかき、心拍数は緩やかになってきます。

身体全体が弛緩するので血管も緩み、心臓の負担が軽いのに血液がゆっくりと全身を巡ります。そして免疫力が高まって病気を治していく時間でもあります。

【目覚める】
1.朝、目が覚めた時にはまだ脳は完全に働いていません。

しっかりと目を覚ますには朝の日の光を浴びる必要があります。強烈な光を浴びることで睡眠を促すメラトニンの分泌がストップされ、脳の覚せいを促すセロトニンというホルモンの分泌が活発になって脳が目を覚まします。この時、体内時計もリセットされます。

2.身体を動かすことによって血液を全身に巡らせ、身体を目覚めさせましょう。

必要な時に必要な時間眠るには「眠る力」が必要です。その力は毎日の習慣によって養われます。眠る前によく眠れる準備をし、目が覚めた時に爽やかに起きられるよう身体と脳を活性化させましょう。体内時計が正常に動くことによってメラトニンが眠くなる時間に正常に分泌されてきます。
良く眠ることは1日の倦怠感や疲労感を無くし、イライラした感情や無気力に悩まされることもなく、身体の回復力、記憶力をアップし、気持ちの安定を得ることができます。

どうか皆さま、ゆっくりお休みください。

予防医学のお話一覧へ戻る
このページの先頭へ戻る