予防医学のお話 No.13
アレルギー

掲載日:2016年03月07日

アレルギー

 いまや、国民の3人に1人が何らかのアレルギーを持っていると言われています。そもそもアレルギーはわたしたちのからだの免疫バランスが崩れることによって発症します。現代社会ではアレルギーの原因(アレルゲン)となるものが広範囲に存在しているため、アレルギー反応を発症する頻度や年齢層も徐々に拡大しています。主なアレルゲンは家の中にたくさんあります。エアコンフィルターやサッシの結露によってできるカビ、寝具・カーペット・ソファーなどに居る大量のダニ、犬猫などペットのフケや毛など、家のあちこちに潜伏したり、部屋中を漂ったりしています。自動車排ガスによる大気汚染、高蛋白・高脂肪、食品添加物の多い食生活、飛散量が多くなった花粉などです。また社会生活の慢性的なストレスによって過剰に分泌されたストレスホルモンは、免疫機能を弱らせ、外部からの少しの刺激に対して過度に反応し、アレルギーを起こしてしまう事があります。
 このように私たちは常にアレルギーを発症してしまう危険にさらされています。アレルギーが原因となった他の疾病も多く発症してしまう事例もあり、まさしくこれからはアレルギーと真剣に向き合う生活習慣が必要になります。

 この時期は特に花粉症の季節でもありますので、今回は花粉症のアレルギーを中心にお話しします。
 まず、アレルギーが起こる仕組みを簡単に説明します。
 アレルギーの原因となる物質を抗原(アレルゲン)といいます。花粉症の場合はスギやヒノキなどの花粉がそれです。花粉が目や鼻に入って粘膜に付着すると、白血球の一種であるマクロファージというリンパ球がやって来て情報を集めます。付着した花粉を「これは危険な物質だから排除しなければならない」と判断するとその事を同じリンパ球のT細胞に伝えます。情報を受けたT細胞は、やはり同じリンパ球のB細胞に抗体を作るように指令します。抗体とは特定の異物である抗原(今の場合は花粉)にくっ付いて体内から除去するように働く分子のことです。指令を受けたB細胞はどんな異物でもぴったり合う抗体を作り出せるので、その花粉の抗体を大量に作ります。この抗体をIgE抗体と言いますが、この抗体が抗原である花粉と何度も接触を繰り返すうちにどんどんと体内に蓄積されていき、一定の限度(人によって違う)を超えるとヒスタミンなどの化学物質がまき散らされます。放出されたヒスタミンが鼻の粘膜の知覚神経から脳に「敵が来た」という信号を送ると防御システムが働きだし、目や鼻の粘膜に付着している異物をくしゃみで吹き飛ばそうとし、洗い流すため鼻水や涙を流し、これ以上異物が入ってこないように血管を刺激してうっ血や浮腫を生じて、鼻づまりや目の充血を起こすなど、花粉症の症状が現れます。
 アレルギーが起こる仕組みは体内の免疫システムと同じです。はしかやおたふく風邪のように2度罹らないのは体内に「免疫」ができて身体を守っているからですが、場合によってこのシステムが、アレルゲンと呼ばれる通常は無害な物質に過剰な反応を生じさせる免疫系の機能不全を起こすのがアレルギーです。
 今、花粉症の症状が出ていない人は花粉症ではない、とは言えません。前述しましたように花粉症は抗体が積み重なって限度を超えた時に発症しますから、ある日限度が来て、これまでなんでもなかった人に突然症状が出る、ということが起こるのです。
 生活習慣によって発症が大きく左右される疾患は数多くありますが、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、気管支喘息などのアレルギー疾患もその1つです。これは遺伝素因や環境因子、生活習慣が複雑に絡み合って発症しますが、近年の増加をみると単に遺伝子の変化と考えるのは不自然だと思います。それよりも、むしろ人を取り巻く環境や生活習慣の変化によるものと考えるのが自然です。例えば、喫煙によって気管支喘息とアレルギー性鼻炎の発症率は2~5倍になるそうです。また、食事の栄養バランスもアレルギーを防ぐうえでは欠かせません。動物性脂肪の過剰摂取は悪玉菌を増やして腸内環境を悪化させ、オメガ6のサラダ油などのオレイン酸を摂りすぎることによってアラキドン酸が過剰になり、アレルギー疾患全般の発生率を増加させます。逆に魚の脂などのオメガ3系のEPAはアレルギーの発症にブレーキをかけ抑制します。腸内環境はアレルギーの発症に大きな影響を与えているため、それを整えることが予防の第一歩といえます。また、野菜や果物の摂取は発現率を低下させるといわれています。
 つまり、環境と生活習慣を改善することでアレルギー疾患の発症は効果的に抑制できるのです。

 アレルギーの人も、そうでない人も、生活習慣を正すことで症状を抑えたり防いだりすることができます。
 睡眠不足になると疲労が蓄積され、免疫力の低下や自律神経の変調をもたらしますので気を付けましょう。
 鼻で呼吸ができる軽い「有酸素運動」も取り入れましょう。これによって自律神経の働きが促され、アレルギー反応を抑えやすくなります。ある調査によると、口呼吸から鼻呼吸にしただけでアレルギーが改善されたというケースもあるほどです。
 ストレスはアレルギーの発症や悪化に大きく影響するため、溜め込まないで発散する方法を身に付けましょう。ストレス解消はアレルギー解消に繋がります。
 そして何と言っても食生活の改善が大切です。食物繊維、ビタミン、ミネラルなどを多く含む緑黄色野菜、海藻類、小魚類などの食品をたくさん摂りましょう。動物性たんぱくはなるべく魚介類を中心にして肉類を控えめにしましょう。脂肪分と糖分の摂りすぎに注意しましょう。油を使う場合はアラキドン酸の原料になる脂肪酸を多く含むサラダ油や紅花油をやめ、アレルギーを抑えるエゴマ油やオリーブオイルなどに変えましょう。
 全ての健康のみなもとは毎日の生活習慣に有るのです。一日一日を大切にお過ごしください。

予防医学のお話一覧へ戻る
このページの先頭へ戻る