予防医学のお話 No.11
インフルエンザ

掲載日:2016年01月06日

インフルエンザ

 毎年この季節はインフルエンザが流行する時期です。例年11月~12月に流行が始まり、1月~3月頃にピークを迎えます。インフルエンザが重症化すると肺炎になり、亡くなる方もいますので特に高齢者や子供たちは注意が必要です。インフルエンザを起こすのはウイルスです。ウイルスは細菌よりも、もっと小さな病原体になり、肺で増殖を始めます。感染経路は主に飛沫感染で、鼻や口からウイルスが入ることで症状を引き起こします。主な症状としては38℃以上の発熱、全身の関節痛や筋肉痛、頭痛、咳などの症状があります。

 インフルエンザウイルスのタイプにはA型B型C型の3つがあり、A型はさらにA香港型・Aソ連型があります。そのなかでも特に、A型の方が重症化しやすいという特徴もあります。インフルエンザが重症化して合併症などになると、中耳炎や気管支炎、熱性のけいれんなどがあります。特に最近では発熱後、数時間から1日程度の間に痙攣や意識障害が生じるインフルエンザ脳症もありますので注意が必要です。

 新型インフルエンザとは、人で一度も流行したことがないか、過去数十年間流行がなかったような新しいタイプのインフルエンザウイルスによるインフルエンザです。A型のウイルスが変異することで出現します。これは世界的に大流行を起こす可能性のあるインフルエンザで、パンデミックと呼ばれ、1918年のスペインかぜ、1957年のアジアかぜ、1968年の香港かぜがあります。なかでもスペインかぜは全世界で5000万人のかたが死亡したとされています。ほとんどの人がこれらのウイルスにまったくと言っていいほど免疫をもっていないために、新型となり広がり、重症化してしまうのです。

 インフルエンザの治療薬ではタミフルやリレンザ、イナビルなどいくつかありますが、その効果はインフルエンザの症状が出始めてからの時間や病状により異なりますので、医師の判断になります。抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少しますので効果的な使用のためには用法、用量、期間(服用する日数)を守ることが重要です。

 インフルエンザの予防では、まずワクチンの接種があります。特にインフルエンザワクチンの接種には正しい知識が必要になります。ワクチンは不活化ワクチンですから、インフルエンザウイルスの活性を失わせ、免疫をつくるのに必要な成分を取り出して病原性を無くして作ったものです。したがって、ウイルスとしての働きはないので、ワクチン接種によってインフルエンザを発症することはありません。つまりワクチンは感染してしまったものを完全に抑えるものではありません。感染する前に打つことによるインフルエンザの発症を抑える効果が一定程度認められているものです。ワクチンには基礎疾患のある方やご高齢の方では肺炎や脳症などの重症化を予防する効果が期待できます。

 予防としては、インフルエンザウイルスの特徴を知る事が大切になります。ウイルスは低い気温や低い湿度の環境を好む性質がありますので部屋の中の湿度や温度管理にも気を配る必要があります。また外出後は手洗いとうがいの励行やマスクの着用しなるべく人混みを避けることが予防の第一歩です。そして日頃から十分な休養や睡眠、栄養バランスのよい食事、適度な運動などが感染の予防を心がけましょう。

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