予防医学のお話 No.7
夏バテから体力を回復する対策

掲載日:2015年8月31日

夏バテから体力を回復する対策

今年の夏も猛暑日が続き、気力や体力もすっかりなくなってしまったかたも多いと思います。また9月は残暑も加わりさらに追い打ちをかけられる日が予想されます。そのような中、少しでも体をいたわる生活習慣としてはやはり規則正しい生活が大切です。特に睡眠時間は、夏の弱った体、紫外線で傷ついた細胞の修復にあたるため十分にとりたいものです。また炎天下での運動は控え、室内でのヨガなどの有酸素運動がおすすめです。しかしなんといっても食事が重要です。暑い時期は特に苦味成分の食材がおすすめです。

苦味の食べ物は、強心、消炎、止血、解熱、鎮痛作用があり、体の熱を冷まして、夏にオーバーヒートしやすい心臓の高ぶりを鎮める作用があります。働き過ぎで疲弊した心臓を補い、正常に戻す作用もあるとされています。高熱や便秘、胃もたれなどにも有効です。また、利尿作用が高いことも特徴で、湿気の多い夏にとどこおりやすい体内の余分な水分の排泄を促すこともできます。
苦味の食材には、春から夏にとれるタケノコやフキなどの山菜、ごぼう、ゴーヤをはじめ魚の内臓、緑茶や紅茶、コーヒーなどがあります。このように、体内の熱を冷ます夏にふさわしい苦味の食材ですが、取り過ぎると逆に胃腸を冷やす原因になります。気温が低くなる秋冬はもちろん、冷え性の人や胃腸の弱い人も取り過ぎには注意が必要です。なぜなら「胃は湿を嫌い、燥を好む」ため、冷やし過ぎは機能低下を招くからです。苦味のほかにも体の熱を冷ますのに最適なものが、スイカやトマト、きゅうり、なす、メロン、冬瓜など、夏に旬を迎える食材です。夏が旬の野菜や果物は、胃腸の働きを補い、体の熱を冷ます作用があります。また夏野菜や果物は水分が多く含まれるので、汗として流れ出た水分を補充することができます。それとともに、排尿を促し体内の水分代謝を高める効果もあります。カロテンやビタミンC、カリウムなども豊富に含まれるため、汗と一緒に排泄されるビタミンやミネラルを補うこともできます。

外で体がほてったときには体の熱を冷ます苦味の食材を摂ることが基本です。しかし現在はエアコンが完備されているため、冷房によって体が外から冷やされることが多いです。食べ物で体の中まで冷やしてしまうと胃腸の働きが悪くなり、冷えや下痢、腹痛、むくみの原因にもなってしまいます。苦味による胃腸の冷えを防ぐため、薬膳では温める作用のある辛味の食材を組み合わせることをおすすめします。そこで、しょうがやニラ・ネギ、七味唐辛子、大葉などの体をあたためる辛味の薬味をたっぷり添えることがよいでしょう。体を冷やす「焼きナス」にしょうがを添えるのも理にかなったことです。冷奴や冷麦、そうめん、そばなども、のど越しがよく、夏にこのまれる食べものです。いずれも体を冷やす寒性または涼性の食材で、食べ過ぎると胃腸を冷やしてかえって働きを弱め、食欲低下を招くおそれもあります。これらにねぎやしょうが、七味唐辛子などの薬味をたっぷり添えると、胃腸が冷えるのを未然に防ぐことができます。また夏バテの解消、滋養にとってのおすすめの食材は「やまいも」です。やまいもは滋養強壮、消化促進作用があり、寒・熱の偏りを正し、下痢を止め、気力をつけ。肌をうるおす幅広い効果を持っています。体の熱を冷ますそばと合わせた「とろろそば」は胃腸の衰えに最適です。

秋は「食欲の秋」と呼ばれるように、残暑が終わり夏に疲れた胃腸の調子も整い、食欲が増進する季節です。また旬の食材が多く、食事のおいしい時期になります。秋は動物が冬眠に備えるように、私たちの体も冬に向けて栄養分を蓄えようとします。秋は乾燥から体を守らなければなりません。秋の食べ物の中で、特に潤いを与えるのが「梨」です。梨は約90%が水分からできているといわれています。また冬にはインフルエンザやかぜが流行する時期になります。これらを予防するために寒い冬の時期に向けて、秋から免疫力を高める必要があります。免疫力を高めるのに役立つ秋の食べ物には「きのこ類」があります。きのこ類は食物繊維も豊富でその成分は免疫力を高めます。寒さの厳しくなる冬にむけ、風邪をひきにくい体をつくりましょう。

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