予防医学のお話 No.6
【腸内細菌の働き】

掲載日:2015年7月31日

【腸内細菌の働き】

「人は生きるために食べるわけであるが、食べたものは食道を通り、胃で消化され小腸で吸収、そして大腸でも、必要な栄養素は吸収され、いらなくなったものは便として排泄される。」

本来、食べたものは自動的に24時間くらいで排泄されるわけですが、その一連の消化、吸収、排泄の過程の中でどうしても他からの協力を得ないといけない部分があります。それが腸内細菌なのです。羊水のお腹の中では無菌であったものが、生まれたあとに腸の中に細菌が住みつき、一生その細菌と共生していく必要があります。
なぜ腸内細菌と共生する必要があるのか、そこには生命の神秘との関係も見いだすことができます。人は呼吸や食べものと一緒に異物やウイルスや細菌を取り込んでしまいます。その他、食品添加物や保存料を毎日の食事からとっています。本来それらは体にとっては必要のないものですから、腸はからだの中にそれらを入れまいとがんばるわけですが、腸内の免疫細胞が少なかったり、弱かったりすると様々な、本来、体に必要ないものまで体の中に入ってしまい、病気になってしまうというわけです。ですからそんな腸の危険ゾーンを、体の60%~70%もの免疫細胞を配置して異物の侵入に備えて免疫細胞は臨戦態勢を取っているというわけです。

その免疫細胞を元気にしてくれているのが腸内細菌というわけです。腸内細菌は重さにすると1~1.5kgもなります。
その腸内細菌を大きくわけると、善玉菌、悪玉菌、日和見菌がいます。正常なひとであればその割合は2:1:7という割合です。本来1だった悪玉菌が、勢力を伸ばしてくると腸内環境も悪くなり、免疫細胞が元気に働けなくなってしまうんです。そんな絶妙な腸内のバランスを保つために、善玉菌の栄養素である、食物繊維やオリゴ糖を日常も取りたいものです。また食事で乳酸菌やビフィズス菌を取ることで腸内環境も改善されるというわけです。悪玉菌はストレスや食品添加物、老化、薬の副作用、肉の油や肉のタンパク質で、そのような悪玉菌が増加するといわれています。日常の中ではこのようなものに注意したいですね。いつまでも若々しく元気で長生きをするためにはまず腸内細菌のバランスを整えることが重要です。

乳酸菌とビフィズス菌はどちらも善玉菌を代表する菌ではありますが、形状も働きも、生息する場所も違います。それぞれ簡単に説明しますと、
<乳酸菌>は食べものの糖質を分解して、乳酸を作り、腸内環境を整え、免疫細胞を元気にして免疫のバランスを保つ働きがあります。乳酸菌の働きによって、腸内は弱酸性に保たれ、悪玉菌の勢力を抑えてくれるのです。またビタミンの生成にも関与しているので、健康増進にもつながります。

<ビフィズス菌>は成人の大腸内における善玉菌の大半を占める菌です。ビフィズス菌は糖を分解して乳酸や酢酸、特に酢酸をつくり、悪玉菌の生成を抑制する働きもあります。下痢や便秘を防いだり、免疫力を高めたりと、腸内環境を整えてくれる働きをしてくれます。ビフィズス菌は年齢と共に減少していきます。高齢になればなるほど、ビフィズス菌の量も極端に少なくなりますので、悪玉菌がその勢力を強めてしまい、腸内環境が悪化してきます。すると腸内では便が腐敗してインドール、スカトール、アンモニアなどの有害物質が生成され、それが血液にのって、体臭や口臭、肌荒れの原因にもなるのです。免疫力も落ちるので、病気になりやすくもなります。

健康を維持するためには乳酸菌やビフィズス菌を取り、少しでも腸内の環境を良くしていくことが大切です。いずれにしても代表的な善玉菌である乳酸菌もビフィズス菌も年を重ねればどんどん減少してしまうと言われております。ですから毎日取ることが必要なのです。

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