注目の健康情報 No.44
長寿菌がいのちを守る!(1)

掲載日:2017年02月01日

わかってきた!腸内細菌と健康の関係
私が人の腸内細菌の研究を始めてから45年目になります。その間に腸内細菌研究の世界では、さまざまな転換期や発見がありました。1990年代から腸内細菌の解析にDNA解析法が用いられるようになると、研究は飛躍的に進み、腸内細菌の全体像がようやく明らかになってきました。以降、腸内細菌と健康に関する論文も次々に発表されています。

一例を挙げると、2001年に、乳酸菌の一種にアトピー性皮膚炎の予防効果があるという論文が発表され、2004~06年に日本で行われた実験では、ビフィズス菌の一種が花粉症の症状を改善するという結果が示されました。また、2006年に「肥満」に関係する腸内細菌の存在が報告され、大きなニュースになりました。それでもまだ……腸内細菌については未知の部分が多く、研究すればするほど新しい発見があります。

〝健康長寿者〟に共通する生活習慣は?

私自身の研究で、近年、いちばん大きな発見は、「健康長寿者の腸には、ある種の腸内細菌が非常に多い」ということです。これは、日本国内でほかの地域と比べて、健康長寿者がとび抜けて多い地域を訪れ、大便を提供してもらって調べた結果、わかったことです。

私が訪ねた〝健康長寿村〟は、山梨県棡原、群馬県南牧村、島根県知夫里島、大分県姫島、鹿児島県の奄美大島や徳之島、沖縄県南大東島など。そこには90歳や100歳を超えても病気や寝たきりにならず、元気いっぱいに暮らしている方がたくさんいらっしゃいます。

これらの地域の人々に共通していることは、大きくは次の二つがあります。

一、野菜をたくさん食べている
肉や魚をあまり食べず、とにかく野菜(根菜類、豆類、きのこ類など)をたくさん食べている。また、海藻もたくさん食べている地域が多い。

二、身体をよく動かしている
山間部にあって毎日坂道を上り下りを繰り返し、野菜作りで全身を使っているなど、毎日身体を動かす生活をしている。とくに足腰が鍛えられている。

三、住民どうしの繋がりが深い
住民どうし、特に高齢者どうしの交流が盛んになされ、お互い助け合っている。

なぜこの習慣が腸と全身によいのか

一つめの「根菜類、豆類、きのこ類など食物繊維が豊富な野菜と海藻をたくさん食べている」は、食物繊維が良好な腸内環境づくりのカギとなることを示しています。もちろん海藻も食物繊維が豊富な食品です。発酵食品は、食物繊維によって整えられた腸の基礎部分に、直接〝善玉菌〟を送り届けることで、腸内環境を良好にする手助けをしているといえます。

二つめの「身体をよく動かしている」こと、とくに足腰が鍛えられているのは、何歳になっても自分の足で歩くことができるほか、大腸の健康にとっても重要な意味を持っています。高齢になると〝便を押しだす力〟が弱くなり、便通が悪くなる人が多いのですが、下半身の筋肉が鍛えられていれば便通はスムーズで、腸内環境も良好に保てるのです。

三つめの「お互い助け合っている」こと。皆さん明るく、年老いたという「脆弱性」がないのです。また、医療設備や運動施設が充実しているのです。

こうして見ると、どちらもとても簡単なことではないでしょうか。
注目の健康情報一覧へ戻る
このページの先頭へ戻る