注目の健康情報 No.41
新時代を迎えた腸内常在菌研究 ~研究成果を国民の健康管理・疾病予防に向けて〜 ①腸内常在菌データベース構築による健康管理・疾病予防

掲載日:2017年01月11日

急速な高齢化と飽食による生活習慣病患者群の増大に起因し、国民医療費は既に30兆円を超え国家財政上で喫緊の課題になっています。そこで国民生活のQOL(生活の“質”) を大きく損なわない予防医学的手法の開発が切望されていますが、未だ具体的な突破口は見出されていません。

 2009年3月末に理化学研究所バイオリソースセンターから定年退職し、4月より,同所内に理化学研究所と産業界からの強力なバックアップにより、辨野特別研究室を立ち上げさせていただきました。ここでは「個人別の“生理・代謝機能を計測・評価する技術システムの構築」に基づいてヒト腸内常在菌データベースの構築を実施しております。腸内環境を検査することにより、個人毎の健康度を測定するシステムを作り上げるのです。すなわち、腸内常在菌解析の成績と生活特性との関連性を解明し、完成した腸内常在菌—生活特性データベースを駆使して、生活習慣の予測および罹患予測と現状の比較を実施が可能とさせています。つまり、腸内常在菌の成績が健康管理の向上および疾患リスクの軽減に結びつき、やがては健康QOLの向上に結びついていくことでしょう。これらの試みは健康予防効果を促進し、これから増え続ける国民医療費の大幅削減に拍車をかけることになります(図1)。

そのために、多くのサンプルを分析するには培養法では困難です。そこで、培養を介さない分子生物学的手法のひとつである「ターミナル-RFLP法」を用いて腸内常在菌の多様性解析を行うことにしたのです。この方法は大便から腸内常在菌の16SリボゾームRNA遺伝子を取り出し、5‘ 末端に蛍光色素をつけ、PCR反応により遺伝子の増幅を行い、特定の制限酵素で、特異部位(遺伝子配列)を切断し、それをDNAシークエンサーで解析する方法です。何より、個々人の腸内常在菌の類似性をみることによって、群分けすることが可能になったのです。この新しい手法を使うと、数年間の取り組みにより現代日本人3220名の腸内常在菌の構成と143項目におよぶ属性(年齢、性別など)や食生活、生活習慣、運動習慣などのアンケート調査を実施し、腸内常在菌と食生活•生活習慣との関係を検索したところ、ヒトの腸内常在菌のパターンが、食生活や生活習慣などによって、以下の8グループに分類いたしました(表1)。

この解析結果をもとにして、腸内常在菌データベースを構築し、生活習慣の予測や将来の健康状態の把握により、個人毎の健康維持・増進や病気予防などに利用することが出来るのです。
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