注目の健康情報 No.39
腸・脳・神経細胞の三角関係 ~ (1)腸脳相関と神経細胞

掲載日:2016年12月05日

腸脳相関について見てきましたが、その連携に重要な役割をもっているのが「神経細胞」です。食道から胃、小腸、大腸と、腸管全体の壁内に網目状に広がる腸管神経系は、腸管にとっては活動や分泌、血流の調節に欠かせない存在です。

神経の構成単位には、「ニューロン」という単位が用いられます。ヒトの場合、大脳には数百億個、小脳には1000億個のニューロンがあるとされていますが、神経は腸にもとても多く存在し、1億個とみられています。脳はダントツに多いのですが、腸の1億個という数字は、神経系でとても重要な働きをする脊髄と同レベルです。
多くのニューロンが集まっているのは、腸が脳とは違う重要な働きをしているからです。腸はこれまで説明してきたように、食べ物の消化・吸収だけではなく、病原菌やウイルス、アレルギーを引き起こす抗原などから身体を守る任務を負っています。脳が理性的なことを司るとしたら、腸は生きることを支える、というように考えればわかりやすいでしょう。
消化管は口から肛門に至るまで、食道から胃、小腸や大腸など様々な臓器からできていて、食べたものを消化して吸収する働きをしています。そして、消化・吸収だけではなく、排泄もしなければなりません。腸内の筋肉は連動しながら食べたものを肛門側にスムースに移動させています。この動きは、胃から始まって小腸から大腸に向かい、腸管全体で行われるものです。
この排泄運動にも、腸管の神経細胞が大きな役割を果たしているのです。腸の筋肉がそれぞれ自由に締まったり緩んだりという運動をしては、腸の中のものは目的地がわからないように、行ったり来たりしてしまいます。そこで、連動した運動とするために筋肉の動きをコントロールする神経細胞の出番となります。食べたものが入って来たことをキャッチすると、口に近いほうの筋肉を締め、肛門に近いほうの筋肉を緩めたりして、調和のとれた腸の運動のハーモニーを演出しています。
この排泄には、腸の中を空にして、腸内細菌のエサとなるものを取り除くことで、細菌が異常増殖することを防ぐ目的もあります。もし、神経細胞が減ってしまうとどうなるでしょう。腸内を空にできなくなると考えられています。そうすると、腸内に残った食べもののカスを栄養として、有害産物を産生する有害菌が増え、様々な病気の原因になってしまいます。
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