注目の健康情報 No.35
脳より先に誕生した腸 ~ (2)消化だけではない腸の役割

掲載日:2016年11月07日

腸は、消化・吸収を担う小腸と、便を作る大腸から成っています。小腸には細菌やウイルスから身体を守る免疫機能が備わっていますが、大腸はしくみが複雑ではないため、これまでの研究界では重要視されてきませんでした。しかし、近年になり大腸の働きが健康に大きな影響を及ぼしていることがわかってきました。それについては、このコラムの中でたっぷり説明していきます。

腸は、単なる消化器官ではなく「第二の脳」なのですから、様々な重要な働きをしています。

少し難しい話ですが、脳に幸福を感じさせる物質は脳内伝達物質の「ドーパミン」や「セロトニン」だといわれています。それらはもともと腸内細菌の伝達物質でした。腸は、脳ができたときにその一部を脳に受け渡したのです。今でもセロトニンやドーパミンはほとんどすべて腸で作られています。セロトニンは腸のなかに全体の90%ほどが存在しますが、脳には2%しかありません。ごく簡単にいえば、そのわずか2%のセロトニンが減ることで、うつ病になるとされています。

もう少し難しくなりますが、「腸こそ第一の脳だ!」と思えるような話をしようと思います。

私たちヒトを含む哺乳類は、脊椎動物です。脊椎動物の特徴は、多数の椎骨がつながった脊椎をもち、脳と脊髄からなる中枢神経をもつことです。

脳と脊髄を作る多数の神経細胞には、情報を伝達したり処理したりという役割がありますが、この神経細胞は、生命の長い歴史の中でヒトデやクラゲ、イソギンチャクなどが属する「腔腸動物」で発生したといわれています。

つまり、腔腸動物には、脳も胃も肝臓も肺もありません。それでも、エサをつかまえ、それを消化して生きていけるのはなぜでしょう。腸だけの動物も生きていくためには栄養分を取らなければなりません。「お腹が減った」と感じて「栄養分を取れ」と指示するのはどこなのでしょう。全て腸が感じて、考え、指令を出しているのです。
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