注目の健康情報 No.33
腸内細菌と免疫

掲載日:2016年11月02日

2014年4月、大阪大学大学院医学系研究科の竹田潔教授らのグループは「虫垂」に存在するリンパ組織が、免疫で防御の働きをする抗体を生み出す場であり、腸内細菌がくさむらのように密集しているところ(腸内細菌叢)の制御に関与していること、虫垂がなくなると、大腸の腸内細菌のバランスが崩れることを明らかにした。

ヒトの身体では退化し、いらないものとされていた虫垂。どちらかといえば、盲腸炎を起こす厄介者と思われていたが、大腸の腸内細菌の維持に必要なリンパ組織だということがわかって、名誉挽回といったところだろうか。


この研究結果のように、腸と免疫の関連性が研究され、解明が進むようになったのはここ10年ぐらいだ。20世紀の終わりまで、腸管に異物が入ったときに起こる免疫系の働きは、研究者の間では非常に重要なテーマだったのにもかかわらず、手をつけられない未知の領域となっていた。

その原因はいくつかあり、腸内細菌学者の研究と免疫学者の研究が異なる視点であること、菌をひとつずつ育てて、どんな機能を持っているのか調べていく「培養」という手法では、膨大にある菌全てを調べつくすことができず、関連性を証明できなかったためである。

だが昨今では、腸内免疫学(ガットイミュノロジー)など、研究テーマが融合されるようになってきた。腸内細菌の研究が進めば進むほど免疫学との関連性も明らかになってきている。


現在は微生物が免疫にどう関係しているのかについて、系統をたて、特定の微生物を対象に実験をしているが、腸内細菌という全体を見て、免疫に対しどのような働きを持っているのかは、腸内細菌の数が膨大すぎるため、まだまだゴールが遠いのが現状である。

ここで先ほどの経口免疫寛容を思い出してほしい。同じような不思議が腸でも起っていることにお気づきだろうか。

外から来た菌はほとんど排除するのに対し、同じ菌でも腸内細菌の大部分は、免疫細胞たちのチェックをパスして腸内に棲んでいいという免罪符を与えられているのだ。腸内細菌がいないと、免疫細胞の量が増えない、あるいは免疫システムをコントロールできないことも免疫側はわかっているのだ!


なんとも不思議なことである。
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