注目の健康情報 No.30
腸管免疫

掲載日:2016年07月01日

免疫のしくみや免疫細胞を理解していただいたところで、いよいよ腸内が担う免疫についてご案内したい。なんと言っても腸は全免疫の6割を担っている。ただ食べ物を吸収してクダと思っている方にとっては、それだけでも驚きではないだろうか。

腸内にある免疫細胞は、腸内に入ってきた「非自己」を無害か有害かを判断し、無害なものは受け入れて、有害なものは攻撃する。これらの異物から身を守るために発達した仕組みを「腸管免疫系」と呼ぶ。

腸管免疫系は大きく分けて、次の4つから構成される。
・パイエル板――リンパ組織
・粘膜上皮細胞とその間――免疫担当細胞
・粘膜固有層――免疫担当細胞
・腸管上皮――吸収細胞

まず「パイエル板」。パイエル板は、小腸にある腸繊毛の間に存在する、リンパリ球が密集したかたまり(リンパ小節)が集合したもののことを言う。これは腸にしかない免疫組織で、小腸の後半部分、回腸から大腸にかけて多く存在している。

このパイエル板は表層に特殊な細胞を持っている。

この特殊な細胞は、細菌など身体に害を与えたり、アレルギーの元となる抗原をあえてとりこみ、リンパ球にいる免疫細胞たちに、抗原がどんな細菌なのか、情報を伝える役割を持っている。

続いて「粘膜上皮細胞」。これは病原菌に対し、殺菌・抗菌作用を持つタンパク質などを生みだして防御の役割を持つ。

免疫細胞が待機しているのが「粘膜固有層」だ。アレルギーのもとに対抗する抗体になる前の物質を生み出す。またさまざまな免疫細胞が存在し、ここから血流、腸管などに移動していく。

一連の免疫活動のなかで、特筆すべきは「パイエル板」の賢さだ。噛み砕いて言うなら、入りやすくトラップをしかけて捕獲&情報収集、抗体を作って敵を倒す。なかなかの策士なのだ。

まるで大きな口を開けたような構造で、病原菌が容易に侵入できるようになっているが、大きな口の奥、パイエル板の中の空間にはたくさんのリンパ球が待機している。

取り込んだ病原菌の形を認識・記憶して、病原菌を攻撃する抗体の製造を別の細胞に命令する。この細胞は腸管上皮細胞に向かい、病原菌に合う抗体を腸管上皮細胞に渡す。腸管上皮細胞が腸内に抗体を放出することで、再度訪れる病原菌の侵入を抑え、機能不全にする。

病原菌など抗原と戦うのは免疫細胞だけではなく、腸管に分布する神経や消化管ホルモンなども腸管免疫系の一部として働いていることが明らかになっている。腸管免疫系では、さまざまな機能が協力しあって働くことにより細胞が活発に動き、病原体の攻撃から身体を守っている。
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