注目の健康情報 No.27
免疫のしくみと働き

掲載日:2016年06月02日

よく「免疫力をあげよう」といったキャッチフレーズを耳にすることがあるが、免疫は、“上げる”、つまり活発であればあるほどいいのだろうか?

確かに、免疫反応が正常より低い場合、免疫不全症が起こり、感染を繰り返したり、ひどいときには生命を脅かす病気におかされてしまうこともある。しかし免疫反応が過剰になった場合には、「異質」にむかって必要以上に反応するため「過敏症」「アレルギー」反応を引き起こしてしまう。

免疫反応が正常より低くなり、身体に支障をきたす病気で知られているのは、後天性免疫不全症候群(エイズ)だろう。エイズは、ある種のウイルスに感染することで免疫システムが破壊され、免疫の活動が低下する病気だ。その結果、しつこい下痢や理由のない急激な体重の減少などがおき、健康な人なら問題のないカビや細菌、ウイルスなどが原因で病気が引き起こされてしまう。

エイズウイルスは、免疫細胞のなかで、敵の攻撃の戦略を決める指揮官役、ヘルパーT細胞を特に標的にし、乗っ取り増殖していく。

指揮官のヘルパーT細胞が敵に乗っ取られて機能しないと、部下である実行部隊、殺し屋の「キラーT細胞」や、捕獲を担当する「B細胞」などへの命令システムが破壊され、病原体が入ってきても反応しない。結果、有害物質や病原菌が排除されず、感染症や合併症を簡単に引き起こしてしまう。

一方、免疫を上げすぎてしまうとどうなるのか。

これこそがアレルギーだ。免疫反応が特定の抗原に対して過剰に働くため、かえって自分の身体を傷つけてしまう。物質そのものには毒性はないのに、敵とみなし過剰に反応してしまうのだ。アレルギーの原因とされるアレルゲンは、花粉、ダニ、動物、昆虫のほか、乳製品、魚、甲殻類、穀物、野菜、果物、肉など多岐にわたっている。

もう一つ、免疫の疾患で多いのが、自己免疫疾患と呼ばれるものだ。

自分の身体にある「自己」と「非自己」の区別がつかなくなってしまい、自己なのに異物だと誤認して免疫反応が起こってしまう。正常な細胞や組織に対して過剰に反応、攻撃してしまうのだ。代表的な症例としては、膠原病や潰瘍性大腸炎、バセドウ病などがある。

自己免疫疾患がおこる原因とそのしくみについては、遺伝や感染、ホルモンの変化などさまざまな説があげられているが、まだ研究段階のレベルでよくわかっていない。

免疫の研究者である新潟大学大学院の安保徹教授は、膠原病について次のように発表している。

「膠原病は免疫が低下した状態で発症する病気。強いストレスやウィルス感染による免疫低下の結果、自己細胞の破壊がきっかけとなったものである」

免疫は過剰でも控えめでも身体にいいことではない。免疫は「バランスがとれていること」が大事なのだ。
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