注目の健康情報 No.16
(16)ストレスと腸内細菌

掲載日:2015年10月30日

生体は各種刺激に反応して脳下垂体‐副腎系の防衛反応が起こり、生体の抵抗性が得られますが、この刺激が過剰に加わると生体は十分に対応できず、ひずみが起こります。生体に加わるこれらの刺激はストレッサーとよばれ、疲労、飢餓、細菌感染などの生物的なものから、寒さ、暑さ、打撃などの物理的なもの、薬物などの化学的なもの、さらに緊張、不安、怒りや過密、騒音などの精神的・社会的なものにまで多岐にわたります(図1)。副交感神経系の抑制により、その支配を受けている消化管の機能は影響を受け、腸管運動や消化液の分泌が低下します。たとえば、NASA(米国航空宇宙局)が有人宇宙飛行計画の進行時、宇宙飛行訓練において、精神的ストレスが相当生じる狭い船内に長期間閉じ込めた場合、飛行士の腸内常在菌を検索したところ、B. uniformisが増加することや、逆にBlautia productsが減少することを認められています。一方、ロシアにおいても宇宙飛行士の腸内常在菌が検索され、飛行中、Lactobacillus およびBifidobacteriumの減少、大腸菌群およびClostridium perfringensの増加が報告されています。ストレス条件下で異常増殖する腸内細菌は腸内で有害物質の生成、あるいは栄養成分の奪取というような腸内代謝を通じてストレスの生体における影響を与え続けています。継続的なストレスは腸内細菌の中で、BifidobacteriumやLactobacillusの減少が有害菌の生育を促進するため、それらによる感染症発現のリスクが高くなると考えられます。

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