注目の健康情報 No.14
(14)動脈硬化リスクに関与する腸内細菌

掲載日:2015年10月5日

 心筋梗塞や脳梗塞を代表とする動脈硬化症は動脈壁へのコレステロール沈着やマクロファージの増加により促進され、これらによる死亡は、我が国ではガンに次いで第2位の死亡原因となっています。動脈硬化の危険因子とされている高血圧、糖尿病、肥満および喫煙のうち、高血圧や肥満に焦点をあてながら、関与する腸内細菌の役割についても多くの関心が寄せられています。
最近の報告で、動脈硬化症患者の口腔、腸管および動脈硬化巣における細菌を調べたところ、口腔や腸管における細菌に比べて、動脈硬化巣からの細菌はプロテオバクテリアが高頻度で検出され、ファーミキューテス類の検出頻度は極めて低いことも明らかにされました。その結果、調べられたすべての動脈硬化巣からもいくつかの細菌が検出され、口腔内細菌や腸内細菌とは異なっているとされています。その中で、動脈硬化巣に特異的に検出される細菌として、クリセオモナスという細菌が高頻度で検出され、さらに、ブドウ状球菌(スタフィロコッカス)、プロピオニバクテリウムやバークホデラなどの細菌が出現すると報告されています。また、ラクノスピラッセアエ、ルミノコッカスやフェイカリバクテリウムなどの腸内細菌が高頻度に動脈硬化巣と大便から共通にから検出されることも明らかにされました。
最近、動脈硬化症患者の特徴ある腸内細菌として、健常人に比べて高い菌数でコリンゼラが検出され、逆に、他の腸内細菌が低い菌数であることが報告され、腸内細菌が症状の深刻化に関与しているようです。
更に、動脈硬化症患者における健康指標である機能性の高いメタゲノム、たとえば、炎症促進ペプチドグライカン遺伝子の増加や抗炎症分子(酪酸など)の生合成に関与する遺伝子の減少などが見いだされています。 これらに関連して、健常人におけるβカロテインの血中濃度増加と関連して抗酸化物、βカロテインの生合成遺伝子の増加が見いだされています。この内容は腸内細菌に基づくアテローム動脈硬化症を防ぐ方法なのかもしれません。
 最近の研究報告では肝臓中でトリメチラミンN-oxideに代謝される食事性コリンからベタインやトリメチラミンへの微生物代謝が循環器病発症に強く関係していることが明らかになってきました。すなわち、コリンを投与されたマウスではアステローム動脈硬化巣の形成や抗生物質処理によって、動脈硬化巣形成が阻害されることが報告されているのです。また、赤肉に含まれている食事性Lカルニチンが腸内細菌により代謝され、動脈硬化症や循環器病発症に関与していることも明らかにされています。
 以上の成績は動脈硬化症発症に腸内細菌の関与が指摘され、今後の研究進展により、動脈硬化症の抑制に働く腸内細菌が特定化されれば、新しい治療法も期待されるようになるでしょう。

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